パン職人から商品開発・講師へキャリアチェンジする方法|現場経験を“次の価値”に変える道

成功した人の姿

「ずっと現場に立ち続けるのが、正解なのだろうか」

パン職人として経験を重ねるほど、ふとそんな思いがよぎる瞬間があります。
体力面の不安、働き方の変化、次の世代への継承——。

実は近年、商品開発や講師といった“現場以外”のキャリアに進むパン職人が着実に増えています。
これは“現場から逃げる選択”ではなく、現場で積み上げた経験を別の形で活かす進化です。

私は、職人として現場に立ち、経営・開発・人材育成を経験し、現在は転職エージェントとして多くの相談を受けています。
その立場から断言できるのは、パン職人のキャリアは焼き場の外にも広がっているということです。

この記事では、商品開発・講師というキャリアの実態、向いている人の特徴、現実的なステップを、事例とともに解説します。

この記事でわかること

  • パン職人が商品開発・講師へ進む背景
  • それぞれの仕事内容と求められる視点
  • キャリアチェンジに向いている人の特徴
  • 実際にあった転身事例
  • エージェント視点で見る後悔しない判断軸

1. なぜ今、商品開発・講師へ進む職人が増えているのか

キャリアパス

背景にあるのは、パン業界そのものの変化です。

  • 多店舗展開・セントラルキッチンの増加
  • 商品寿命の短期化
  • 教育の属人化から脱却したい企業ニーズ

つまり、「焼ける人」だけでなく、再現性を設計できる人・伝えられる人が求められるようになっています。

最近の相談で増えているのが、「体力的に不安はあるが、パン業界からは離れたくない」という声です。

商品開発や講師は、現場経験があるからこそ成立する仕事

決して“楽な道”ではありませんが、長く業界に関われる選択肢として、とても健全な流れだと感じています。

2. 商品開発というキャリア|“作る”から“設計する”へ

見落としがちなポイント

商品開発の仕事は、単に新しいパンを考えることではありません。

  • 原価・歩留まり
  • オペレーションへの落とし込み
  • 他の職人でも再現できる工程設計

これらを含めて「商品」です。

向いている人の特徴

  • なぜこの配合・工程なのか説明できる
  • 数値(原価・ロス)に抵抗がない
  • 他人の作業を観察するのが好き

事例:商品開発に転身したDさん(40代)

Dさんは20年以上現場一筋の職人。

腰を痛めたことをきっかけに、メーカーの商品開発へ。

最初は戸惑いもありましたが、「現場で起きるトラブルを先回りして潰せる」視点が評価され、今では主力商品の設計を任されています。

商品開発で評価されるのは、センスより現実感です。

「美味しい」だけで終わらず、「この設備で」「この人員で」「この原価で」成立するかを考えられる人は、確実に重宝されます。

3. 講師というキャリア|技術を“伝わる形”にする仕事

製パン講師の仕事は、「うまい人」ではなく「伝えられる人」が向いています。

  • 専門学校講師
  • 社内教育担当
  • 研修講師

いずれも、言語化力と観察力が重要です。

向いている人の特徴

  • 後輩指導が苦にならない
  • なぜ失敗したかを言葉で説明できる
  • 相手の理解度に合わせて話せる

事例:講師へ転身したEさん(30代後半)

Eさんは後輩育成が得意な職人でした。

「教えるのがわかりやすい」と評判で、声がかかり製パン学校の非常勤講師に。

現在は現場と講師を両立しながら、将来的なフルタイム講師を視野に入れています。

講師職で大切なのは、「自分ができる」より「相手ができるようになる」。

完璧な技術よりも、失敗の理由を説明できる人が評価されます。

4. キャリアチェンジ前に考えておくべき3つの視点

3つ

① 現場経験は何年・どこまであるか

→ 最低でも一通りの工程を任されていたか

② 自分の強みは“技術”か“整理力”か

→ 商品開発・講師で活きる軸が変わる

③ 収入・働き方の変化を受け入れられるか

→ 初期は年収が下がるケースもある

キャリアチェンジで後悔する人の多くは、「理想」だけで決めてしまったケースです。

仕事内容・収入・評価軸。

この3つを現実的に理解してから動けば、納得感のある選択になります。

現場を離れても、あなたは“パン職人”のままでいい

パン職人に役立つ資格

商品開発や講師という選択肢を前にすると、「現場を離れるのは逃げじゃないか」「もうパン職人とは言えなくなるのでは」そんな不安を口にされる方が、とても多いです。

でも、私はこれまで何百人もの職人さんと向き合ってきて、はっきり言えることがあります。

現場を離れた瞬間に、パン職人でなくなる人はいません。

むしろ「現場で何度も失敗した経験」、「思うようにいかなかった仕込み」、「後輩にうまく伝えられず悩んだ日々」

そうした積み重ねこそが、商品開発や講師という立場で「誰かを助ける力」になります。

体力に不安が出てきた。働き方を見直したくなった。次の世代に何かを残したくなった。

それは弱さではなく、キャリアが成熟してきた証拠です。

パン職人のキャリアは、一直線である必要はありません。

焼き場を離れても、視点を変えても、あなたがパンと真剣に向き合ってきた事実は消えません。

もし今、「このままでいいのか」と立ち止まっているなら、それは“終わり”ではなく、“次の工程に入る合図”かもしれません。

パンづくりと同じで、無理に急がせると、うまく膨らまない時期もあります。

焦らなくていい。答えを一人で出さなくていい。

あなたが積み重ねてきた経験が、”どこで、どう活きるのか”一緒に整理するのが、私たちエージェントの役割です。

現場でも、開発でも、教育でも。パン業界には、あなたの居場所があります。

次の一歩は、小さくて構いません。

でも、その一歩は、確実にこれまでの延長線上にあります。

この記事で紹介したように、パン職人の転職には環境選びが重要です。
もっと詳しい求人や非公開情報を知りたい方は、こちらからお気軽にご相談ください。

株式会社アルチザンターブル 厚生労働省許可番号14-ユ-302409

藤巻たすく
藤巻たすく

この記事書いた人

藤巻たすく

ベーカリーのプロデューサーとして、法人での店舗開発から職人としての海外修行、独立開業、年商2億円超え、食パン専門店とベーカリー合わせて全国30店舗規模に育ててM&A譲渡、現在はベーカリー専門の店舗売買・譲渡・M&Aと、パン職人専門の転職エージェント事業を行っています。
私の経験が、皆さんの未来に少しでもお役に立てたら嬉しいです。

記事監修:株式会社アルチザンターブル

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参考リンク

※本文は公開情報と筆者の実務経験に基づき執筆しています。統計値は出典の算出方法・時点により変動します。